コロンビア 1 − 0 日本

GK 楢崎
DF 宮本 坪井 山田 三都主
MF 中田浩 遠藤(→奥) 中田英 小笠原(→松井)
FW 高原 大久保(→永井)

30℃を超える猛暑と20%台の湿度が全て。と片付けてもいいんだけど、それじゃああんまりなので。

暑かったからかプレーの随所にミスが見られて、それが本来ミスこそが許されないDFでも起こるから「ああ、これはやられちゃうかもな」なんて思ってたら案の定ですよ。これは技術よりは心身共の体力の問題。コロンビアはその点で日本を遥かに上回ってたように思う。まあ、こういう試合もあるさって感じですね。もちろん「暑かったから負けた」なんて言い訳が通るわけではないから、基礎体力の向上に努めるべきなのは当然です。2010年のワールドカップはアフリカ開催が濃厚だしね。

それから俊輔の不在は大きかった。俊輔レベルのテクニシャンは今のところ日本にはいないので、ある意味では中田英以上に代えのきかない選手です。それに加えて大会中は、セリエAのシーズン途中のレジスタ(低い位置でゲームメイクする人のこと…らしい)へのコンバートもあってか、その部分の欲求不満が形に出たかのような稀に見る好調だったので、もったいないなあというのが率直な感想。僕個人は今までの俊輔は好きではなかったんだけれども、速いボール捌きであったり運動量であったり、チームの勝利に直結するような動きを見せていたので、この調子で頑張ってもらいたい。

それで俊輔の代わりに出場した小笠原ですが、どうも消極的でボールに触る機会自体が少ない上、もっと攻撃に絡んで欲しいところを妙に低い位置でのタッチ、それだけで前を向くならまだしもフリーの場面でバックパスをしてみたり、わざわざ相手のいるようなところにボールをほうってみたり。チームの中においてブレーキになっている感がありました。そりゃ中田英も前半終了後怒るという話で。それに奮起したのか後半開始直後にミドルシュートを放って、これは吹っ切れるのかな? と期待したも虚しく、すぐに消えてしまった。ポテンシャルはそれなりにある選手だと思うので、あと一皮二皮剥ければなあ。

で、僕が大好きな(わー)中田英ですけれども、この試合はいいところなかったなあ。ぶっちゃけてテクニックのある選手じゃない(世界レベルで見ればね)にしろ、らしくないパスミスが目立ちました。まあコロンビアがそういう作戦だったのか、中田英がボール持ったらとりあえず2人以上で当たってファウル覚悟で止める、みたいなところがあったので、本人が言うには体調が良くない中で難しい展開だったとは思いますけれども、そんな中でこそ仕事をしてほしいのが中田英寿っていう選手でね。特に失点後何としてでも得点しなければならないって時に消えちゃってたかな。残念。

FWは良かったと思います。相手DFの中心選手だったイバン・コルドバがいなかったってのも大きいけど、あれだけの暑さの中で運動量を要求されてて、その上でチャンスらしいチャンスはしっかり狙っていってたように感じる。もちろんもっと上手くやれた部分(シュートのクイックネスとかね)はあるけれども、そういう個人レベルの技術を1試合で突然要求する方が酷というもので、とりあえずは自分の力を発揮したんじゃないだろうか。高原は運がないなあ。フランスのシセなんかもそうだったけど、普段は決まるようなボールがポストに弾かれたりして、そういう時ってのは誰にでも絶対あること。

サッカーでシュートがポストに阻まれたようなとき、よく「運がない」みたいな言い方をして、それって本人の技術が足りないだけじゃないの? っていう風に思う人もいるだろうけどさ。ゴールを決めるっていうのは例えば野球でピッチャーの投げるボールを打ち返すことでいえば、いい当たりが内野手の真正面だったとかそういう部分を指すと思うんだけど、それだけじゃなくて、例えばパスが必ず、自分の立っている位置にとってのストライクゾーンに来るわけじゃないし、ボールに様々な回転がかかってるものをバットみたいな安定した道具で当てるわけじゃなくて自分の頭や足だし、自分としても相手との競り合いで満足なボディバランスを保てなかったり、芝が深かったり地面が掘れてたり、っていう不確定要素が滅茶苦茶多いんだよな。それを一般的に「運」と言うのであって、例えば絶妙のパスにフリーで打ったシュートがポストに弾かれたらそれは運じゃなくて技術の問題だけれども、その辺りはわかって欲しいですね。まあ、その上でコンスタントにゴールを決めるのが一流かどうかってことでもあるんだけど。

閑話休題

で、本当に久しぶりにジーコの手腕を問われる場面が出てきたんだけど、今までを見る限りではクソレベルだよな。トルシエも選手交代に関しては結構なヘタレだったけれども、例えば不調の小笠原を残して献身的に動いていた大久保を下げたり。大久保は攻撃面じゃなくて守備面でも前線からのチェイシングでかなり貢献してた。ジェペスもてこずったと思うよ。この交代はおそらく決勝ラウンドを睨んだんだろうけど、今回の試合に関しては後半20分で勝ち点1が確実に得られるだろうと判断すべき試合内容ではなかったし、しかも出てきたのが永井でしょ。そもそもただの親善試合じゃなくて、短いスパンで開催されるコンペティションなんだからFW登録が3人しかいないってのはどう考えてもおかしい。大久保タイプの選手が一人もいないのな。永井を選出したのだってアウェーの韓国戦で奇跡みたいなゴールを決めてる、それだけだったんじゃないかな。直後失点して、あわてて小笠原を下げたはいいが、出てきたのがそれまでFWの練習をさせられてた松井。更には、ミスが失点に繋がったとはいえ中盤で必死にバランスを取っていた遠藤を下げて奥でしょ。意図としてはより攻撃的な選手を入れるってことだったんだろうけど、内容を見ても代えるなら遠藤じゃなくて中田浩二だろう。まあレキップ紙だと遠藤のコロンビア戦の採点は4.5っていう酷いものだったから、僕みたいな素人じゃわからんようなマイナスポイントがあったのかもしれないけどさ。で、代わりに入った選手はいずれも何も出来ず(松井は手応えあったらしいけどね)そのまま試合終了。うーん。

コロンビアはもちろん弱くはないけど、現時点でベストメンバーを組んだフランスやブラジルのような、ちょっと勝てないな、という相手ではなかっただけに、もうちょっとどうにかできたんじゃないかな。何より残念なのはこれで国際舞台の2試合を失ったということ。観る方の気持ちとしてはもちろんだけど、この2試合をやってたかどうかってのは大きな収穫を逃したんじゃないかな。あーあ。