ドイツ 0 - 2 イタリア
疲れた。
前半は中盤のせめぎ合いが激しく緊迫した展開ながらイタリア優勢。フリンクスが急遽出場停止で代わりに出てきたケールは無難に中盤の守備をこなしていたように見えたが、バラックも守備の意識が強すぎた。また左に入ったボロウスキーはあまり突っかけるタイプではなく留まってキープするからか、カモラネージがアホみたいに上下するためか、ラームがほとんど上がっていけなかった。右のシュナイダーが絡んでいけないのは今大会ずっとそんな感じだし。攻撃に厚みがなかった。一度だけFWを追い越す形でシュナイダーがDFラインを破ってシュートを放つが、ブッフォンが指先だけ触れて得点にはならず*1。一方のイタリアはピルロとガットゥーゾが実に効いていたのと、ペロッタの飛び出し、先に書いたカモラネージのアホ運動量、更にはザンブロッタやグロッソの攻撃参加でボールを支配し押し気味に展開できたのだが、トーニが出し手の意図を感じていなかったりトッティがミス多発したりで得点には至らず。0-0で折り返し。
少し飛ばしすぎじゃないのという激しいせめぎ合いから後半は若干運動量が落ち、スペースが生まれた。ドイツはバラックの位置がより前目になり、ガットゥーゾが足を攣ってしまったりしたお陰でスムーズな形の攻撃が出始めたが、ブッフォンとカンナバーロを中心にゴールを割らせない。普段から素晴らしい選手だが今大会のカンナバーロは特にヤバい。濡れる。一方イタリアの攻撃はカモラネージの運動量がガタ落ちで、ザンブロッタが守備に忙殺され、またグロッソも対面を警戒して上がれなくなる。ただ交代が遅かったりFWに預けてからの二列目以降の上がりがほとんどなかったり、延長戦を視野に入れた印象も強い。それにしたってバテバテのカモラネージくらいはもっと早めに替えてあげても良かったと思うけど。
延長に入ってすぐはイタリアの猛攻。対するドイツもポドルスキーが二度決定機を迎えるがシュートは枠を捉えず。デルピエロを投入してFW登録の選手を3枚並べる形にはリッピにしては意外な交代策だなとは思ったが、決定的な形は作れない。これはPK戦かな…と思っていたらグロッソのゴール。畳み掛けるようにデルピエロのゴール。そのまま試合終了と。W杯でのPK戦は負けなしのドイツ、というのはアルゼンチン戦で有名になっただろうが、なんでもイタリアはPK戦に入って勝ったことがなかったらしい。ドイツにしたらあと2分守りきれていればといったところ。まあグロッソのシュートはここしかないというコースだったし止められなかっただろうが、もっとピルロを警戒すべきだったんじゃないだろうか。そのちょっと前に強烈なミドル打たれてるし。この日のピルロは実に精力的で攻守に貢献し、最後まで運動量が落ちなかった。
スタッツを見るとシュート数はイタリア15、ドイツ13とほぼ互角だが、枠を捉えたのはイタリア10に対しドイツはわずか2。イタリアが確実にシュートを打てる体勢まで持って行ってるのに比べると、ドイツは後半は左サイドから崩す場面も増えたが中でことごとくクリアされ、縦のボールにはカンナバーロが素早く反応。抜けてもブッフォンの飛び出しが絶妙。何より絶好調のクローゼが決定機をほとんど迎えられず終いで下がったのが痛い。クローゼのシュート数はなんとゼロ。カンナバーロとガットゥーゾに挟まれながら抜けたシーンは惜しかったが、ブッフォンに阻まれた。もっとポドルスキーとクロスする形でマテ兄貴側に流れればいいのにとか思って見てた。まあカンナバーロもかなり警戒して付いてたけど。ファビオマジクール。
イタリアはいい形で展開できてたんだが、トッティがダメすぎた。ミスパス多いし、サイドに流れるようなこともなく中央で立ってるだけだし、彼が蹴るCKは全て同じ軌道を描いてレーマンの手の中に収まるし*2。はっきり言って邪魔。ピルロが死ぬほど走って底から展開したと思ったら2列目に顔出したりで頑張ってたり、ガットゥーゾがクラブでは見せないようなボール捌きで繋ぎ役をこなしてみたりしてたから何とかなったけど。最初から2トップ中盤4枚の方が良かったんじゃね。
僕的MOMはピルロ。カンナバーロも素晴らしかったけど。この日のピルロはピルロ？ ピルロ！？って感じ。すっげえ頑張ってたなあ。クラブではもっとサボってガットゥーゾやセードルフに頑張ってもらってるんだが、何か色々違う人だった。
これでイタリアが決勝進出だが、もう一方でフランスが勝ち上がるようなことがあると堅すぎる試合になりそうで怖い。まあ今大会のイタリアは割と面白いサッカーやってるし、フランスもジダンが輝きを取り戻したり、あるいはリベリーがチームにフィットしたり、ヴィエラの攻撃参加が目立つようになったりといい兆しは見えるんだが、どちらもラインは低いからなあ。FWには難しい試合になりそうだな。
