ザスパ草津 1 - 4 コンサドーレ札幌

結果としては快勝。嬉しいのは確かなのだけど、試合を観終わったあとは安堵感の方が大きかった。というのも、内容としては五分どころかやや押され気味ですらあったので。

強風吹き荒れる中、前半は札幌が風上だったのだけど、札幌の選手は未だボールをしっかり抑える技術に欠け、にもかかわらず速いパスワークを心掛けているようだから、出てくるパスのほとんどが浮き球で、ボールは風に煽られて受け手に届く頃には位置にかなりのズレがあったり、あるいは縦へのロングボールを放っても伸びて相手ボールなんてシーンばかり。対する草津は札幌の高いDFラインの裏にボールを放りこんでは宮川や山崎を走らせていたのだけど、これがまたいい感じでバックスピンがかかったように受け手の手前で収まる。札幌は次第に攻勢を仕掛けられ、CKから先制を許す。

草津のキーマンは左DFに入った高須だった。彼が左サイドからボールを散らし、あるいはFWが中へ走りこんだ後のオーバーラップでチャンスを演出。対する札幌の右MFである岡田は何故かストッパーのちょっと前まで絞って対応していたので、大きなスペースが生まれてそこを自由に使われた。札幌にとっては幸運なことに、その高須が前半で負傷退場。代わりに入った寺田は本職のDFで、ボールを供給するスキルはないらしく、この交代で札幌は非常に楽になった。

後半は札幌が風下になり、草津ミドルシュートを立て続けに食らうことになるのだけど、風に乗ろうと乗るまいと抑えの利いたミドルを打つにはそれなりの技術が必要で、鳥居塚を除けば草津の選手にそこまでの技術はなかった。また草津はリードを広げられて次第に焦りが生まれ、前半あれほど上手くいってたパスワークもちょうど前半の札幌のように風に流されて繋がらなくなった。しかし札幌の方もボールが収まらず、セカンドボールを拾われてイニシアチブを握れずじまい。シュート本数は草津の15本に対して札幌は9本という数字にも表れてるけど、チャンスはあまり作れなかった。

札幌の4点というのは2シーズン前まで遡らなければならないほど久しぶりの大量得点で、そもそも去年は3点以上取った試合がなかった。ただこれにしても、幾分幸運だったことは確か。1点目はCK、右利きの砂川が蹴ったボールが風に流されゴールに向かっていき、目測を誤った岩丸が辛うじてはじいたこぼれ球を池内が押し込む。2点目はペナルティエリアのすぐ外側からの砂川のオーバーヘッドだけど、あれも風に乗らなければ岩丸はセーブできたんではないかと思う。3点目や4点目はひとえに草津DFの拙さが出た場面。そういう幸運やチャンスすらモノにできなかった昨年を考えれば、まあ成長してると言えなくもないのだろうけど。

札幌で光った選手はGKの高原。シュートに対する反応の良さが随所に現れて、札幌のピンチを何度も救ってくれた。ただ前節の不用意な飛び出しを怖がったのか、ゴールマウスからあまり飛び出してこずベッタリ張り付いていたので、高いDFラインを設定する札幌としてはもっと積極的な姿勢を出してほしい。前節では出たことにケチをつけたのに今回はこんなこと言ってるのだけど、その辺のバランスとか判断の向上には経験を積むしかないかな。

草津は波に乗れてる時間帯はいいのだけど、攻撃にしろ守備にしろ基本となる技術や戦術理解度がまだ低いようで、ちょっと押され気味になるとガタガタっと崩れる印象。前節まではいずれも退場者を出し、この試合では高須の負傷交代といった感じで予期せぬ事態が続いているという不運もあるのだけど、それにしたって土台がしっかりしていれば少しは対処できるはず。もうしばらく苦しい時期が続くかもしれない。チームはもちろん、サポーターも一時のブームとして終わらないように頑張り続けてほしい。

次はホームで仙台を迎え撃つ。去年ボロボロだった札幌もなぜか仙台相手には2勝2分と相性が良くて*1、今年もまたシーズン序盤も序盤に躓いてるみたいなので、何とかホーム初勝利、そして去年はなかった連勝を目指して頑張ってほしいです。

*1:去年は通算で5勝ですから。いかに相性がいいかって話ですよ。